説得力のあるフォトリアルな表現を目指したFFXVのビジュアルエフェクト

初めに登壇した長谷川氏は,FFXVのグラフィックス開発コンセプトを,「説得力の高いフォトリアル表現であること」であると説明した。PSO2 RMT

 FFXVは,現代的な風景といかにもファンタジーな風景が共存する世界を舞台にしたファンタジーRPGであり,そこで描かれる事象は空想の出来事である。しかし,その世界で生じる火や水,煙といった現象や,光のようなエネルギーの扱いは,徹底して現実世界と同じように描くことを心がけたと,長谷川氏は言う。
 たとえば,魔法として火が発生するのは虚構であっても,一度出現した火が燃え広がったり,炎の光が周囲を照らしたりするのは,現実世界の物理現象と同じであるから,そのように描くことにこだわった,というわけだ。

魔法攻撃で発生した炎であっても,そのビジュアルエフェクトは現実の炎と同じように描く
FINAL FANTASY XV

FFXVの印象的なエフェクトをまとめたサンプルムービー
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PBRやLWF,HDRといったキーワードが,FFXVにおけるエフェクトのこだわりポイントである
FINAL FANTASY XV  一方,小山氏は,FFXVレンダリングパイプラインが,物理ベースレンダリング(Physically Based Rendering,以下,PBR)ベースで,そのレンダリングはリニア空間の輝度値(≒色値)で取り扱っていると説明した。

 ここで言うリニア空間とは,表示するディスプレイの仕様(たとえば輝度)を考慮しない,現実世界の物理と等価な数値表現体系のこと。事実上のハイダイナミックレンジ(HDRレンダリングともいえる。
 レンダリングパイプラインをリニア空間で扱う手法のことを,映像やCGの用語では「リニアワークフロー」(Linear Work Flow,以下 LWF)と呼ぶ。そしてFFXVのエフェクト群は,すべてLWFで制作されているのである。

FFXVのエフェクト群は,すべてLWFにより制作されている
FINAL FANTASY XV FINAL FANTASY XV

 「FFXVにおけるPBRとLWFの効果が,最も生きている代表的な材質は『水』である」と小山氏は述べた。
 水を正しく表現するには,鏡面反射要素(Specular)と透明度(Transparency),屈折(Refraction)の3要素が必要となる。PlayStation 4世代のゲーム開発では,透明な物質と不透明な物質を切り分け,なおかつ鏡面反射要素を残しながら透明度を下げる表現ができるようになったということで,水の表現のリアル度が向上したという。